感想などありましたらこちらまでどうぞ。

人類初めての飛行/モンゴルフィエ兄弟の熱気球

人間が空を飛ぶという歴史はモンゴルフィエの熱気球から始まった。
モンゴルフィエ兄弟は兄がジョセフ・ミシェル、弟がジャック・エティエンヌで、リヨン市の南60キロ、キャンス峡谷に沿うアノネーで、裕福な製紙業者の家に生まれた。
モンゴルフィエ兄弟が気球を作り始めたきっかけには諸説あるようだ。何気なく暖炉に紙袋を燃やそうと思って投げ入れたら熱で袋が上昇したのを見て、気球の制作を思いついたという話しもある。
気球に感心をもった理由として、こんなエピソードもある。1782年、兄のミシェルがスペイン軍に包囲されて海からも陸からも逃げられなくなったイギリス軍の絵を見て、「どうして空から逃げないのだろうか?」と思いつき、気球の研究を始めたという。
気球の材料としては、自分達の得意な分野を活かし、軽くて丈夫な紙を用いた。実験で口の開いた紙袋の下でワラと羊毛を燃やしてみると、ちゃんと紙袋が上昇する事を実証できた。ところが、兄弟は実際には、「熱」が気球を上昇させるとは理解してなく、「煙り」を重視していた。しかも、匂いが強烈な方が効果があると誤解していた…。
1783年6月5日、アノネーで公開実験を行い気球は無人ながら高度1800メートルまで上昇し、10分後に2キロ半ほど離れた野原に静かに落下した。
そして1783年9月19日、ヴェルサイユ宮殿の前庭でルイ16世、王妃マリー・アントワネットらの前で動物(ヒツジ、ニワトリ、アヒル)を乗せて実験が行われた。その時の燃料はワラ、古い靴、腐敗しかけた肉などを燃やしたので、とんでもない悪臭の煙りだった。実験は成功で、高度520メートルほどで約3キロ飛行した。
そして1783年11月21日、人間が最初に空を飛んだ。動物実験で一応、空を飛ぶことが無事である事が証明されていたけど、万が一の事を考えてルイ16世は、二人の罪人を乗せ、無事帰還できたら罪を許すという命令を下した。しかし、人類最初の飛行という栄誉を犯罪人に与える事に反対した物理学者のピラトール・ド・ロジェは自分がその役を受けますと申し出た。フランソア・ローラン・ダルランド侯爵の協力で王を説得する事に成功し、ロジェとダルランド侯爵の二人が人類で初めて空を飛ぶことになった。当日は、動物実験の時は盛大に王族たちが見守る中で執り行われたのに対して、ブローニュの森のシャトー・ド・ラ・ミュエートの前庭で地味に行われた。それは多分、燃料があまりにも臭すぎて、2度と実験には立ち会いたくないと王族たちは思ったからではないだろうか…。(個人的な推測)
とにかく、「熱」ではなく「煙り」だと誤解していたにせよ、人類初という事でモンゴルフィエ兄弟の熱気球は深く歴史に刻まれて、小学生向けの図鑑にも掲載されている。
モンゴルフィエの熱気球が人間を乗せて飛行した、わずか10日後、その後の気球の主流となる水素気球が人間を乗せて飛んだ。その名前はよほど航空に感心のある人しか知らない。


モンゴルフィエの熱気球
inserted by FC2 system